(なのに、どうして……私はセディに『さよなら』って言わないんだろう。ここから立ち去れないんだろう……)
自分への疑問が、アデルの心を更に焦らせる。
その答えを出す前に、セドリックの方が小さな溜め息をつき、彼女がそれ以上『用件』を探そうとするのを阻んだ。
「わかりました。……姫」
「え?」
「姫にその気がない以上……これ以上僕が君を想うのは、迷惑にしかなりませんね」
頭上から降ってくるセドリックの言葉に、アデルは反射的に顔を上げて大きく振り仰いだ。
セドリックはどこか寂し気に、けれど優しい笑みを浮かべている。
「それなら……これで最後です」
セドリックが薄い唇で紡いだその決定的な一言が、アデルの胸に大きく深く突き刺さった。
ドクンと、血流が噴き上がるような嫌な音が胸に響く。
「で、殿下……?」
アデルは自分を見つめるセドリックの蒼い瞳を求めるように、ゆっくり立ち上がった。
セドリックはアデルの深く澄んだ緑色の瞳を見つめ返し、口角をフッと上げると、柔らかく微笑む。
「最後だから……名前を教えてほしいし、その仮面も外してほしい。本当は、そう願っているんですが……」
セドリックは悲し気に目を細め、自分の言葉を打ち消すように何度か首を横に振る。
自分への疑問が、アデルの心を更に焦らせる。
その答えを出す前に、セドリックの方が小さな溜め息をつき、彼女がそれ以上『用件』を探そうとするのを阻んだ。
「わかりました。……姫」
「え?」
「姫にその気がない以上……これ以上僕が君を想うのは、迷惑にしかなりませんね」
頭上から降ってくるセドリックの言葉に、アデルは反射的に顔を上げて大きく振り仰いだ。
セドリックはどこか寂し気に、けれど優しい笑みを浮かべている。
「それなら……これで最後です」
セドリックが薄い唇で紡いだその決定的な一言が、アデルの胸に大きく深く突き刺さった。
ドクンと、血流が噴き上がるような嫌な音が胸に響く。
「で、殿下……?」
アデルは自分を見つめるセドリックの蒼い瞳を求めるように、ゆっくり立ち上がった。
セドリックはアデルの深く澄んだ緑色の瞳を見つめ返し、口角をフッと上げると、柔らかく微笑む。
「最後だから……名前を教えてほしいし、その仮面も外してほしい。本当は、そう願っているんですが……」
セドリックは悲し気に目を細め、自分の言葉を打ち消すように何度か首を横に振る。
