「キミ、こんなところで何してるの?」

 淡々とした口調で誰かが私に話しかける。

「おい、どうした?」
「ああ、シンマ」
「珍しいな、お前が人に話しかけるなんて…って、おい!お前、どうした?傷だらけじゃねえか!」

 褐色肌で銀髪の男の人が私の肩をガシッと掴む。

「やめてあげなよ。ビビってんじゃんその子」
「お、おお…悪いな嬢ちゃん」

 男の人が私の頭にポンと手を置いてハニかんだ。
 そのやさしさだけでもう救われた気がした。
 ああ、この人がお母さんの言っていた『孔雀』さんだったらどれだけよかっただろうか?

「ねえキミ、そのペンダント、何?」
「…!こ、これは…!誰にも渡さないんだから!」

 やっぱりこの人たちもお母さんを殺した追手?
 に、逃げなきゃ!
 そう思っていた私の腕をぶかぶかのパーカーを来た人がつかんできた。

「べつに、それをくれなんて一言も言ってないよ。ただ、見覚えがあるだけ」
「そういえばどこかで見たな、そのペンダント。それに…お前のこともどこかで見たような…?」
「なんとなくだけど、シェーヴルに似てる」
「ああ、そうだな!シェーヴル!懐かしいな、あいつ今何してんだろうな」

 シェーヴルって私のお母さんの名前だ!