「ふぅ…。こんなにゆっくりお風呂に入れたのいつぶりだろう」

 あまりの気持ちよさについ声を出しながらそんなどうでもいいことを口にする私。

「そう、それはよかった」
「ぎゃああ~!」

 私の叫び声が風呂場に木霊した。

「おい、なんだ!?どうした!?」
「きゃあ~‼‼‼‼‼」
「うわっ!?すまない!」

 私の叫び声に反応して、シンマが風呂場に駆けつけてきた。
 当然、私はそれにまた驚きシンマに裸を見られたくない一心で彼にお湯をかけしてしまった。

「し、シンマさん!?ごめんなさい!大丈夫ですか!?」
「今、湯船から出ないほうがいいよ。キミ、裸なんだからさ」

 ぐんっと私の腕を引っ張ったのは孔雀だった。
 ていうかいつの間に風呂場に…?

「驚かせたこっちも悪かったけど、女湯に入るのはどうかと思うよ?」
「おい、お前も今女の体で…しかも裸で男の前で立つのもどうかしてると思うぞ?」
「シンマはこの体見慣れてるからいいでしょ?」
 
 そ、それは一体どういうことなの…?

「と、とにかく俺は何も見てないが悪かった!」
「こっちの方はばっちり見たけどね」

 にや~っと笑って?いるのかどうかわからないけど、そんな微妙な顔をしながら孔雀は言う。
 それに対しシンマは顔を真っ赤にし、拳をふるうがそれもむなしく、空ぶった。

「馬鹿か!見慣れてたまるか!」

 そういってシンマは孔雀にバスタオルを渡し、ドアをバンっと閉め、風呂場を後にした。

「ごめんね、せっかくのくつろぎタイムに邪魔しちゃったようで」
「いいえ、こっちも悪いんです…。びっくりしちゃって叫んじゃって…」

 後から聞いてみると、孔雀は男湯も女湯も行っているそうだ。
 入る基準は人数が少ないかどうか。
 今日は女湯の方が私しかいなかったから、女湯の方に来たというわけである。
 でも、お風呂に入るのはタマにでいつもはシャワーだけで済ませているらしい。

「すいません、それじゃお先失礼します」
「じゃあ、こっちもあがる。驚かせて悪かったし、風呂場からじゃどこにリビングががあるかわからないでしょ?」

 そういえばワープでここに来たからわかんないんだった。

「ありがとうございます。それじゃお言葉に甘えて…」

 私たちはそうして風呂場を後にした。