「やっぱり、なんもないね」

 ズバッと本当のことを言う孔雀。
 そりゃ、そうだけど…もうちょっとオブラートに包んでいってほしかった…。

「で、何から話せばいいの?」
「えーっと…。孔雀さんはお母さんがこの『愛に関する』能力?をどうやって使っていたか知っているんですよね?」
「うん、そうだね」

 即答&淡々とした口調で言った。

「具体的にはどんなふうに?攻撃とかできるんですか?」

 一気に質問しすぎたかな…?

「キミは『愛』の形ってどんなものだと思ってる?」

 いきなりポエミーなことを言い出した孔雀。
 『愛』の形か…。
 一般的なもの、といえば…。

「『ハート』とかですかね…?」

 私はそう言って、手でハートを作る。
 紙とかで描けたらよかったんだけど、生憎今は紙とペンを持ち合わせていない。

「うん、じゃあそれでいいよ。キミはその手で作ったハートで何を思い浮かべた?」

 何を思い浮かべたか? 
 うーん、どうしよう何も思い浮かべられなかった…。
 なにをしたらいいかわからなかったので、とりあえずそのハートをのぞき込んでみた。

「そうか、それが君の答えなんだね?」
「えっ?」
「それがキミの最初の『愛』の能力。もう一回のぞき込んでごらん?」

 言われた通り、のぞき込む。
 すると、孔雀の胸のあたりにハートのようなものが現れた。
 なんだろう、これ…?