できるだけ、物音をたてずに歩いていく。
特に意味は無いが、僕の精神は、じわじわと、凍えるような危機感を感じ取っていた。体育館を、端から端まで長方形の一辺一辺を慎重に探索する。まぁ、察してはいたが、何もなかった。悲しい程になにもなかったのである。しかし、まだ体育館はまだ調べてない箇所がいくつもある。まずは、準備室である。と言っても、あるのは道具や、ボール、テニスラケットなんかだけである。そう思っていた最中(さなか)に…
「な、なんだよ…これ…」
何を見たであろう、血痕がべっとりと染み付いた、不気味な覆面であった。
何でこんな物があるんだ…よりにもよって何でここに!僕は困惑していた。それもそう、最近殺人鬼が出回っているという噂が絶えず、犯人の特徴は、不気味な覆面に、男性用の社員服をきていて、凶器は不明である。身長は175cm程度で、体重は50kg程度と推測される。何でも、その殺人鬼は、死体から血を採集しているんだとか。