そこへ、何か面白いものを見つけたという顔をした山川先生がやってくる。
ちょうどいい、こうした話が大好きなこの人なら、二人のことを知っているかもしれない。

「副崎と藤澤がどんな関係なのか、御手洗先生に聞いていたんです」
「ほお。あの二人ってよく一緒にいるわね。幼馴染だったかしら?」
「そうです」

御手洗先生が答える。

「私の見たところによると、あの二人は付き合ってないわ」

山川先生が自信あり気に断言する。

「分かるんですか?」
「女の勘よ。こう見えても私、鋭いの。あの二人を見ていると、幼馴染の関係がそのまま大きくなったって感じがするわ。今までそういう話を、二人の間でしたことないんじゃないかしら」
「ああ……」

そう言われると、的を射ているようで自然と納得してしまう。

「ただ藤澤君の方は、副崎さんを意識していると思うわ」
「え? ほんとですか?」

僕は驚いて微妙に声が大きくなる。
職員室にいる先生達の視線が集まり、とても居た堪れない気持ちになったが、咳払いをして改めて聞き直す。

「それでどういうことなんですか?」
「そのままの意味よ。藤澤君はずっと片想いを続けているのだけど、それが言い出せないでいるの。肝心の副崎さんは藤澤君をそんなふうに意識したことが無い。だから小さい頃からの幼馴染の関係が変わらずに、大きくなったように見えるのよ」
「な、なるほど……」 

山川先生の緻密な分析に男性陣二人はあんぐりとし、言い返す言葉がなかった。

「気になるのなら、本人に直接聞くのが一番ね。藤澤君に聞くのはかなり勇気いるかもしれないけど」
「あはは……」

僕は苦笑いを浮かべる。
藤澤もそうだが、副崎にも聞き辛い。

「ところで恋愛の話で思い出したんだけど、久田先生は昨日のあのニュースは見たかい?」

御手洗先生がふと何かを思い出し、僕に問いかける。