体育館の中は既に全校生徒で埋め尽くされており、点呼をとっている最中だった。
点呼が済むと生徒指導の原先生が前に出てきて、生徒達に活を入れる。

「お前ら体育館に入ってから並ぶまで、時間がかかり過ぎだ。ぐだぐだ喋ってないで、もっとてきぱき行動しろ」

どこの学校もこういう先生っているんだな。
こういう先生がいるから、学校の秩序が保たれているとは思うけど。

準備が整い、始業式が始まった。
流れとしては初めに校長先生が話をして、次に校歌斉唱が行われる。
その後担任発表があり、最後に新任の先生の紹介というありきたりなものだ。

担任発表の時に多少のざわつきがあったが、それ以外は粛々と式は進む。
そういえば僕が中学生の時、どうしても無理な先生が担任になったって、隣で号泣していた女の子がいたな。
なんて過去を思い出しながら、僕は式の進行を見ていた。
今年一年、僕は一年二組の副担任をするので、始業式の出番は新任の先生の紹介の時だけだ。
近年は新任の先生が担任を持つことが増えてきているが、僕はそうではなく、会議で告げられた時は本当に安心した。
一年目から担任なんて、いくら教員の数が少ないとはいえ流石に辛い。
友人で一年目から担任を持った人がいるが、本当に大変そうだった。
一年間SNSで「死ぬ死ぬ」連呼していたのが印象に残っている。

「最後に新任の先生の紹介です。該当する先生方は壇上へお上がりください」

司会の先生に呼ばれ、僕は壇上へと上がった。
といっても生徒の前で話したのは代表の先生一人だけなので、僕は紹介を受けた時に一礼するぐらいしかしない。



こうして正規の教員としての初日は、特に何事もなく終わった。