球技大会も終わり、二期の考査週間に入った。
考査期間中の部活動は原則禁止であり、生徒会もこの期間は活動せず、各自テストに向けての勉強に集中する。

球技大会の次の日から考査週間に入ったので、生徒会で副崎と顔を合わせることはなかったが、授業がある時には声を掛けてくれる。
球技大会の日に倒れた影響はほとんど見られず、寧ろ前よりも楽しそうだ。

今日は僕に教えてほしいところがあるらしく、放課後に会うこととなっている。
職員室の机に座って副崎を待っていると、外から僕を呼ぶ声が聞こえた。

「失礼します。久田先生はいますか?」

考査週間に入ると、生徒達は職員室への出入りが禁止となる。
そのため用件がある場合、生徒はこうして職員室の外から先生を呼ぶのだ。
僕は立ち上がって、副崎の元に歩み寄る。

「よろしくお願いします」
「うん。じゃあそこに座って……って、他で埋まっているな」

職員室の外には数脚の長机と椅子が並べられており、そこで生徒達は自分で勉強したり先生に質問に答えてもらったりできる。
今回もここで教えようと思っていたのだが、考査週間になるとここを使う人も増えることもあり、早くも満席になってしまっているようだ。

「どうしようかな。他に空いている教室があればいいけど……」
「だ、だったら、生徒会室でどうですか? あそこならおそらく空いているでしょうし」

困っている僕に、副崎が提案する。

「ああ、なるほど。ならそうしよう」

僕らは生徒会室に移動する。
生徒会室に行くと副崎の予想通り誰もいない。
持っていた鍵を開けて、二人で中に入った。