そういえば、副崎は何を悩んでいたのだろう。
その疑問はまだ解決されていない気がする。

「でも、今回はちゃんと向き合えているはず……」

自転車を漕ぎながら僕はそう呟く。

大丈夫。
生徒達とはうまくやれている。

もう、あの時のようなことはあってはならない。

「呉葉……」


遠目から見える全高の校舎は、知らぬ間に暗い影を落とし始めていた。