「なら高崎さんの言った買い出しって何? 実はそういう理由でもつけて久田先生と仲良くしてたんじゃないの?」
「そ、そんなことない! 文化祭の買い出しに、生徒会の皆と久田先生で行っただけだよ」
「ふうん。まあ貴方の言うことなんて、もう誰も信じられないけど」
「えっ……」
「そうよね、高崎さん」
「わ、私⁉ 私は……」
私はちひろの方に振り返る。
ちひろは唇を震わせ、私の顔を何度も見ようとしては逸らす動作を繰り返す。
「ち、ちひろ……」
ちひろは何も言わない。
その姿は、私を絶望の淵へと追いやるものだった。
「どうして……、どうしてちひろ⁉」
背筋が凍りつく。
私は思わずちひろの肩を掴んだ。
「ごめん……、ごめんね……」
ようやく話したちひろの言葉はそれだけだった。
彼女の目に涙が浮かぶ。
「そんな……」
私は必死で教室中を見回す。
だがここには、私を信じてくれている人は誰一人としていなかった。
「ああ……」
皆の視線が怖い。
耐えられなかった。
襲いかかってくる孤独が、私の心臓を抉りとろうとしていた。
「い、嫌……、やめてよ……」
私は、鞄も持たずに教室から逃げ出す。
「あ、美奈‼」
ちひろの声は私には届かない。
私が届かせなかった。
走って、走って、走って……。
途中で何人かの人とぶつかったが、一切気に留めず走った。
靴を履き替えることも忘れ、私は学校の外へと出た。
騒々しく蝉が鳴いている中で、空には太陽が寂しく浮かんでいる。
太陽は蝉の鳴き声に負け、輝くことを諦めようとしていた。
