『優奈、あんまり走ると転ぶよ。』


古川 圭太と紫苑。
2人共16歳。


一応、紫苑の方が兄で
圭太が弟だが、
2人は双子なので優奈と
同じ学年である。


「だって紫苑、高校だよ!?いろんな人がいるんだよ〜。早く行きたいじゃん?」

本当は走って学校に行きたかったが、
仕方なく双子と肩を並べて道を歩いた。


『安心しろ。誰も優奈なんか見ねぇから。』


ムカッ。プッチン来たわ。

『ふんだ!あたしを見て貰うんじゃな〜い〜の!
あたしが逆に観察するのよ!オホホホホ♪
イッツ・ア・ドリーム♪』

ラララ〜と歌いながら高校の正門をくぐると前から誰かが走って来た。


『ねえ、優奈。愛ちゃんがダッシュでこっち来てるよ?』


んん?愛が?紫苑の言うとおり前を見ると
親友の吉良 愛が確かに猛ダッシュでこっちに走って来ている。


『ゆ〜な〜!こんな所で何してんのよ!あんた新入生の代表挨拶、忘れてんじゃねぇよ!』

ぜぇぜぇと息を切らしながら愛が叫ぶ。


『愛、だんだん口調が汚くなってるよ。
ってか挨拶って何?』


愛が信じられないといった目で見てきた。