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嫌な予感がした。
あまりに不用心すぎた。
きっと母はがっかりするだろう。
わざとではないと言い訳しても、私はまた母の期待を裏切ってしまったのだから。
玄関の方向から、ガチャリとドアが開く音がした。
その音を聞いてゾッとする。
見ず知らずの誰かが、この家に足を踏み入れた。


「お邪魔しますよー」


男の声がした。
更に足音は一つではなく、複数。
足音が近づき、危機を感じて隠れようとするも家具の少ないこの家ではまともに隠れられる場所などない。
成す術もなく、私はその場に立ち尽くした。

やがて私の目の前に3人の男性が現れる。
柄の悪い男性3人に圧倒され、私は動けない。
部屋に足を踏み入れるなり、男達は顔を顰めた。
3人のうち1人が「酒臭い」と小声で口にする。


「お嬢ちゃん。お母さんはどこに行った？」


動けずにいる私に1人の男が声をかけた。
母の居場所など知らない。
寧ろ私が聞きたいくらいだ。


「わからない」


そう正直に答えた。
自分から発せられた声は情けなく震えている。
私が怯えていると確信した男達は厭らしく笑った。


「本当に知らないの？口止めされてるとか？」
「ほ、本当に、知らないの……」


言うと、3人で何やら相談し始める。
小声で話しているが、私の耳に届いた言葉。
「ガキだけでも連れていくか」と。