『あまり沢山の人と接触しないでね』


母からの言いつけ。
毎回それを守って行動する。
あまり目立たぬよう、大通りを歩かずに細い路地裏を歩いた。
暫く歩き回っていると、背後から小さく声が聞こえた。
その声を聞き逃さないよう、耳を澄ませる。


「今夜、ホ別ゴム有3でどう?」


今まで背後にいた男が私を追い越して前を歩いていく。
人目がないか周りを確認しつつ、その男に着いて行った。
辿り着いたのは小さなホテル。
とても高級とは言い難い見た目のホテルだが、一夜限りの関係ならば男は特に見栄を張る必要もないのだろう。

フロントでキーを受け取り、部屋に移動したところでやっと互いに口を開く。


「若いし可愛いね、君」
「私を買って3万なんて。羽振り良いよね、おじさん」
「ホテルに高い金は使わないけどね」
「良いよ。場所なんてどこでも同じだし」


シャワーを浴びようとその場で服を脱ぐ。
「大胆」と声が聞こえたが気にはしない。

シャワーを浴びていると男が入ってきて、後ろから手を回し、私の体に触れた。
互いに呼吸が荒くなり、男の手は激しく、止まらなくなる。

今日は何時頃に帰れるかな。
私がこうしている間、母は変わらずビールを啜って、TVを見て、笑っているのかな。
帰ったら、私を褒めてくれるかな。

そんなことを考えながら行為に励んだ。