彼女にこれ以上怖い思いをさせる訳にはいかない。
「なんでこの子、こんなに手足震えてんの?しかもさっき“逃げる”って聞こえたのは俺の気のせい?」
手足が震えてるだけじゃない、顔も真っ青だ。
少しでも安心させたくて、なるべく冷静を保ちつつ彼女をかばった。
奴は観念したのか、舌打ちしながら消えて行った。
それで安心したのか、彼女は泣き始めた。よほど怖い目に遭ったのだろう。
「急に触って悪かった。動ける?そこのカフェまで行こう。」
俺も男だ。今ので男性に恐怖感を持ってもおかしくない。
隣で泣いてる彼女の背中姿は、触れただけで壊しれてしまいそう。
“守ってやりたい”なんて初めて思った。
