ココロたび

すっかり夜になり帰った彼女が座っていたテーブルに、手帳が置いてあった。



中身を見るとスケジュール帳だった。今から追いかけても間に合うかもしれない。



『その手帳、さては忘れて行ったな。駅に向かってるから間に合うはずだよ。ありがとう。』



自分の会計を済ませ、手帳を渡すために店を後にした。



するとすぐに彼女の姿が見えた。男に掴まれた手首をなんとか振り解こうとしていた。


それが見えた瞬間、怒りを覚えた。




『なんでいきなり逃げるんだよ！どこ行くつもりだ？』



そいつは明らかに彼女に何かしようとしていた。





「そこで何してんの、おじさん。」





本当はぶん殴ってやりたかったけど、そんな事したら余計に彼女を怖がらせることになる。