ココロたび

俺がここに入った理由が分かったのだろうか、マスターが小声で教えてくれた。ずっと彼女しか見てなかったからとまで言われてしまった。



俺、そんなに見てたか?ほぼ無意識だったんだろう。顔が熱くなるのを感じていた。





一方、落ち着きを取り戻した彼女は、本を読みはじめていた。



それからも、本を読む彼女を俺は眺め続けた。



よくここに来るのだろうか、普段何をしてるのだろう、平日の昼間に動けるってことは社会人?大学生?名前は何て言うのだろう。





彼女が帰り支度を始めるまで、彼女の事を知りたくて仕方がなかった。






その間、マスターが俺たち2人を交互に見てはにやけていたなんて知る由もなかった。