空も雲も何もかも茜色。だか、俺は歌詞より歌声に聞き入っていた。



彼女は曲について言ったのだろうけど、俺にとっては彼女の声があの夕焼け空にぴったりだと感じた。



彼女の歌声は綺麗だけど儚さが感じられた。とても優しい声だった。




『お客さん、注文決まった?』




マスターに声をかけられ、まだメニューすら見ていないことに気づいた。



すると、なぜか急に彼女がそわそわしだした。



不思議に思いながらもコーヒーを頼んだ。



『彼女、他にお客さんがいる時は絶対歌わないんだよ。君に聞かれたんじゃないかって思ってるかもね。』