恋のお楽しみは年下上司と業務外指示から

「室長が入るんでしょ」

少し甲高く甘ったるく話す彼女の声はほんの少しの休憩中は聞きたくなかった。

でも仕事中だからある程度コミニュケーションをはからないと、ちひろの態度によっては人事に影響を及ぼす可能性だってある。

「そうみたいね」

そっけない返しに、ちひろは物足りなさそうに口元をゆがませる。

「新しい室長、若いみたいだけど、頼りなさそう」

と、ちひろは軽く毒づきながら隣で紙コップの中にサーバーからコーヒーを注いでいる。

「ちひろには関係ないんじゃない」

「そうかな。自信ないんだけどね」

そういって思いっきり自信ありげに話してるじゃん、と心の中でつぶやきながらゆっくりとコップのお茶をすすっていた。

「南月がついてくれているおかげで仕事もはかどるから、新体制でもよろしくね」

と、いいながら左手で紙コップのコーヒーを持ち、鼻歌交じりで給湯室から出て行った。

これ以上あなたには首はつっこみたくない、といいたかったけれど、いい出せなかった。

仕事人間なのはわたしもちひろも同じだ。

新しい室長によってどう変わるか楽しみもあるけれど、どこか気持ちにひっかかるものを感じながら、お茶を飲み干し、自分の席に戻った。