恋のお楽しみは年下上司と業務外指示から

「まあ確かにあっちのほうが一枚上手だよ。自分のアイディアとして成立させちゃうんだから」

「そうやってあんた、また阿久津課長代理に話したんでしょ」

「向こうから相談があるって切り出されたから仕方ないのよ」

「そうやってのんきにしてると、今度は自分の立ち位置、削られていくよ」

「しかたないよ、会社組織なんだし。なんでもうまくやった人の勝ちなんだから」

何度指摘してもこうだからなあ、と高城は諦めムード全開だ。

高城は一息ついて、社内連絡用に使っている社内掲示板のファイルをクリックした。

人事異動の辞令があらわれた。

「そうそう、知ってた? 企業買収で子会社から新しいひとがくるんだってさ」

「新しいひと?」

「あたしたちよりも年下。だけどずいぶんと仕事ができる男だって」

「そう」

年下に対して冷たい態度をとることを知っていた高城は、わたしの態度に軽くふきだしている。

「そっけない態度。桜庭、年下なんて興味ないっていってたもんね」

「もう、そういうプライベートなこと、言わないの」

4月から新しい部長がやってくる。

胸の奥がかすかに震えた。

辞令の名前に見覚えがあった。