恋のお楽しみは年下上司と業務外指示から

「桜庭、ちょっといい?」

黒髪のショートヘアに茶色いふちのメガネをかけ、白いシャツにグレーの長袖カーディガン。

黒の膝丈スカートに黒のストッキング、黒のパンプスで身を固めているのは、途中入社で同僚の高城千春。

今の部のリーダーで、みんなのまとめ役である。向かいに座っている高城のパソコンをのぞく。

「またあんたの出したの、パクってるじゃん」

と、次回の会議に提出する計画案を社内サーバーからアクセスして、画面に表示した。

責任者の欄に『阿久津』と載っている。

「パクられた、か」

「設定が似てるからってまたやらなくてもいいのにね」

阿久津ちひろ。わたしと同期だ。

同期で同姓ということもあり、研修時から仲良くしていた。

けれど、相手はどう思っているか、よくわからなかったけれど、後々になって自己査定に響くことになる。

最初のプレゼンのとき、彼女からこのプレゼンでは絶対にムリだと指摘された。

その案件を捨て、別の案件を出したところ、彼女のプレゼンが通ることになった。

わたしの出す予定だった案件からいいところを抜いて作成されたものだった。

どういうことだと説明してほしかったけれど、あれは自分のアイデアだからと突っぱねる始末。

確かに彼女のアイデアも盛り込まれたものだったから、文句は言えない。

それでも巧みに近づく彼女に、わたしは懸命に応えてしまう。

男の相談をしたけれど、彼女はやめたほうがいいと一点張り。

やはり、彼女はわたしとくっつこうとする男を食い散らかしてきた肉食女子と判明。

うまい具合な世あたり上手だな、と感心してしまう。

そんな彼女は、今では経営企画課、課長代理というポストを与えられている。