「付き合うことになった」

その一言に、秋山こよりは珈琲牛乳を吹き出しかけた。

「…え?高月君と?」
「うん」

こよりの尋問に耐えかねて、蝶はそう吐き出した。

校門の前で目立つことをしてしまった蝶と高月は、生活指導の先生に呼び出されてしばらく説教を食らっていたのだ。

それが噂になり、四方八方から蝶の根も葉もない悪い話が聞こえてくる。

ただでさえ優希の噂がようやく鎮まった頃だったのに、と蝶はため息をついた。

けれど、思ったよりもダメージが少ないのは、きっとこよりのおかげかもしれない。

「…ありがとう」
「な、何が」
たじろぐ友人を横目で見、笑った。

「…でも、蝶ちゃん。本当にそれでいいの?」

「うん。だって私、高月のこと好きだもん」

微かに唇の端を上げた蝶に、こよりは複雑な表情でそれを見ていた。