晴れ間の見えた空が視界に入り、蝶は頬杖をついてそちらに目を向けた。

ぱさり、と音がして、視線を自分の机に戻す。
折り畳まれた紙切れは、ノートの端を破ったもののようで、誰から来たのかとあたりを見回した。

開けて見て、鼓動の音が響いた。

見慣れた字だ。

(今日…返事)
そのメモ書きを握りしめた蝶は、定まらない心模様に目を凝らそうとしていた。


放課後、高月が席を立つと、目当ての少女は忽然と姿を消していた。

「…あのやろ」

息を吐いた高月は、まだ遠くには行っていないだろう蝶を探すために、鞄を肩にかけて駆け出した。

その頃蝶は、校門前で途方に暮れていた。

高月にここで待っていると机の中にメモ書きを入れておいたのだが、気づいていないかもしれない。