まだ、そんなに人が来ていない。

「…あの」

吐き出した声までもが、震えた。

気だるくこちらを振り返った女子の目が、驚きに見開かれた。

「今日の放課後、話したいことがあります」

昨日の首謀者と思われるその女子の、茶髪に良く似合う好戦的な瞳が瞬いた。

「…あんた、何様の分際で」

「絵里」

その言葉に歯止めをかけたのは、意外にもグループ内の女子だった。

「行ってやればいいじゃん。どうせどうなるかなんて目に見えてるっしょ」

思い知らせる良い機会、と含み笑いをした女子に、それもそうねと頷いた女子は了承の意を見せた。

そこを立ち去った蝶は、自分の席についてしばらく背筋を伸ばしていた。

だが、女子達の目線がすっと移行すると、息を吐く。

決戦は、今日だ。