先生、僕を誘拐してください。


クスクスと笑うと、奏は汗を流しながらも鼻までマスクで隠す。
まあ、本音を何も言わなくてもいいよ。

私の為にカナリアを窓辺に飛ばせてくれた奏だから、特別に許す。

「あんた、一応朝倉くんは生徒会長よ、失礼があったら大変だよ。学際のとき、生徒会に顔を出すって言ってたし」

一応忠告のつもりでそう言ったのだけど、奏は目を細めた。

そうだった。
昨日の奏の本音では、朝倉くんを監視するって言ってたもんね。


「朝倉くんの何をそんなに警戒してんの?」

私の問いに、奏は自転車の鍵を差し出しつつも顔を背ける。

いつになったら、声を出してくれるの。

そんな逃げたままなら、ずっと本音が私の窓辺に現れてしまう。

「まあ、無理して生徒会に入ることないからね。部活だって忙しいだろうし」

「おーい、奏はやくー」