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「知らない。奏には高校入ってからずっと避けられてるから」
「へえ、そう。なんか、身長もいつの間にか蒼人より大きくなってない? この前まで美空と変わらなかったのに。あ、やば、追いつかれる。じゃ、またね」
真由が私の肩を叩くと、坂道を上ってきた後輩たちの前を再び走って行く。
奏や蒼人たちよりも早く、校門へ消えて行った。
――それより、奏くん、どうしたのかな?
真由の言葉が、私の心に突き刺さる。
カンカンの太陽が、もう一滴も水を飲んでいないカラカラの大地を容赦なく照らすみたい。
私は、奏の高校受験の家庭教師を引きうけた。
うちは父が死んで、少しでも母のためにお金を稼ごうとしていた時だったから、家庭教師を頼まれた時、喜んで引き受けた。
清水奏。隣に住む、二個下の可愛い幼馴染みだった。太陽に照らされると、茶色かかった髪は煌めき、笑うと目がなくなってくしゃくしゃになる。
色素が薄くて、手足はすらりと白く長く、そして吹奏楽でずっと綺麗なボーイソプラノを歌っていた。
「知らない。奏には高校入ってからずっと避けられてるから」
「へえ、そう。なんか、身長もいつの間にか蒼人より大きくなってない? この前まで美空と変わらなかったのに。あ、やば、追いつかれる。じゃ、またね」
真由が私の肩を叩くと、坂道を上ってきた後輩たちの前を再び走って行く。
奏や蒼人たちよりも早く、校門へ消えて行った。
――それより、奏くん、どうしたのかな?
真由の言葉が、私の心に突き刺さる。
カンカンの太陽が、もう一滴も水を飲んでいないカラカラの大地を容赦なく照らすみたい。
私は、奏の高校受験の家庭教師を引きうけた。
うちは父が死んで、少しでも母のためにお金を稼ごうとしていた時だったから、家庭教師を頼まれた時、喜んで引き受けた。
清水奏。隣に住む、二個下の可愛い幼馴染みだった。太陽に照らされると、茶色かかった髪は煌めき、笑うと目がなくなってくしゃくしゃになる。
色素が薄くて、手足はすらりと白く長く、そして吹奏楽でずっと綺麗なボーイソプラノを歌っていた。



