バスは、正面から突っ込んできた軽自動車に押し倒されガードレールにぶつかって、前方は大破していた。
前方に居たけれど、投げ飛ばされ転がってお母さんは、倒れた座席に両足を押しつぶされ、病院に行った時はまだ手術中だった。

そして、運転手と一番前に乗っていた父は、死亡。
救いだったのは、即死で痛みを味わいながらじわじわと苦しまなかったことぐらいだ。


そんな説明を受けていたのは、泣き崩れる蒼人でもぼーっとしている私でもない。

真由と、奏。
そして仕事を早退して駆けつけてくれた奏のお父さん。


お父さんの遺体が眠る先へ向かう中、窓の外を見上げた。
その空はものすごく澄んでいて、その真っ青な蒼に押しつぶされそうで、あの青空を壊したかった。

あの空をめちゃくちゃに壊したかった。