痛みではない。強い消失感。
涙を流す暇もなく、現実と向き合わないといけない。
心のキャパはとっくにオーバーしていて、溢れて破裂して消えてしまいそう。
いや、消えてしまったのかもしれない。
あの日は突き抜けるような青空で、飛行機雲が蜃気楼のように見上げても確認する前に消えていく。
それほど澄みわたって、汚れもない空だったのを覚えている。
蒼人は陸上部部長で、県の中体連が行われ参加していた。
長距離とリレーの参加で、私も学校が終わった後に真由と見に行こうと思っていたんだ。
私たちが向かう頃には終わっているか表彰式ぐらいだったけれど、真由の後輩が大勢いるのでどうせなら見に行きたかった。
それに私も同行した感じだ。
『蒼人、4位だったよ。全国には行けなくて残念だ』
お父さんからそんなメールが来たので、私は空を見上げながら電話をしてみた。
「もしもし? 4位って個人? 団体?」



