下に降りると、すでに奏がご飯を運んでいる。当たり前のように人数分の食器を並べて、野菜を盛りつけてる。
ちゃっかり奏の分もテーブルに用意されてる。
奏の家は、いつも帰りの遅いお父さん一人だから自然とそうなってしまった。
蒼人の隣はお父さんだったのに、いつの間にかほぼ当たり前のように奏が座っている。
奏が使っていた予備の椅子はリビングのソファの隣でリモコン置きになっている。
それすらももう違和感がない。
私の正面に座った奏をじっと見ると、少し迷惑そうに視線を泳がせる。
私の視線が邪魔だと言わんばかりに頬杖打って横を向く。
「あら、はい。もしもし」
お母さんがタイミングよく電話を持って廊下へ向かう。
それと同時に私は喋らない奏を見る。
「あんたって成績良かったんだね」
「……!」
「蒼人みたいに馬鹿だと思ってた。ああ、私の為の演技かな?」



