机に鞄を置いて、クローゼットから着替えを取り出す。
すると、奏はおずおずとカーテンから飛び出して来た。
『だって、……恥ずかしいじゃん。皆の前でステージで歌とか。しかも男、僕だけだよ』
「ぷっ」
『ほら、先生は僕を子供扱いしてる! 絶対笑うって思ったんだ!』
ムキになって怒る奏に、お腹を押さえて倒れ込むように笑ってしまった。
理由が可愛い。思春期の男の子だ。
「じゃあ、バスケ部は格好良いから入るんだ?」
『……それだけじゃないけど』
やっぱり理由はそれらしい。
「一緒に歌おうよ。ジャズだってよ。月の光の下、カーテンの向こうに現れる本音くんにぴったりの曲だよ」
『もう曲まで決めてるの?』
「あ、ちがった。この曲は朝倉一のリクエストだった」
私がそう言ったら、可愛い本音君の顔が険しくなった。
すぅっと消えそうだった輪郭が、急にしっかりと目の前に現れた。
「僕、朝倉一、嫌い。あの人、僕を睨んだんだよ」
「えー。嘘、あんな人格者が?」
すると、奏はおずおずとカーテンから飛び出して来た。
『だって、……恥ずかしいじゃん。皆の前でステージで歌とか。しかも男、僕だけだよ』
「ぷっ」
『ほら、先生は僕を子供扱いしてる! 絶対笑うって思ったんだ!』
ムキになって怒る奏に、お腹を押さえて倒れ込むように笑ってしまった。
理由が可愛い。思春期の男の子だ。
「じゃあ、バスケ部は格好良いから入るんだ?」
『……それだけじゃないけど』
やっぱり理由はそれらしい。
「一緒に歌おうよ。ジャズだってよ。月の光の下、カーテンの向こうに現れる本音くんにぴったりの曲だよ」
『もう曲まで決めてるの?』
「あ、ちがった。この曲は朝倉一のリクエストだった」
私がそう言ったら、可愛い本音君の顔が険しくなった。
すぅっと消えそうだった輪郭が、急にしっかりと目の前に現れた。
「僕、朝倉一、嫌い。あの人、僕を睨んだんだよ」
「えー。嘘、あんな人格者が?」



