「あと二人入らないと廃部って言うから助っ人。これで体育とか部室使えるし。置き勉はいっつもこの部室借りてたし、世話になってんだよな、奏」
蒼人に話を振られた奏が、少し横を向いてからバツが悪そうに頷く。

「二年生が二人、一年が三人。ちょうど試合に出る五人が揃ったんだ」

「センパーイ、キャプテンの村田でーす! アドレス教えてくださーい」

軽薄そうな言葉を大声で言われ、少しむっとするが、蒼人たちは楽しそうに笑っている。蒼人に関してはお腹を抱えて笑っていたので、背中を蹴ってやった。

「あんたねえ」
蒼人に拳骨をお見舞いしようとしていたら、横からまたボールが風を切るように上へ投げられた。

「うわ、怖っ」

ボールは、二階の手すりに当たって、手すりが大きく重たい音を立てて揺れた。

「……ミス」

「!?」

低いその声に振り返ると、私に背中を向けてボールを拾いに行く奏の姿しか見えない。

ということは、今の奏の声?