蒼人と奏は、制服を脱ぎ下に着ていたタンクトップ姿で寝ころんでいたが、むくりと起き上がりボールを持ってゴールの前に立つ。

半面使っている端ギリギリまで下がってから、綺麗に飛んでボールを投げた。

綺麗な弧を描きながら、ボールは音もなく飛んでいき、ゴールに吸い込まれていく。

「すげー。やっぱ奏、手なげえ」
「おー、3ポイント!」

嬉しそうにはしゃぐ蒼人と他の男子たちに、奏は額から流れた汗を拭くと無言で笑っている。

その笑顔は、――私は知らない。大人びて、昨日私の前に現れた奏とは正反対。

力強くて、――うん。これは確かに格好良いかもしれない。

奏ってこんな格好良いやつだったっけ?

疑問に思いつつも、こそこそバスケ部たちの方へ向かう。
すると、気付いたのはやはり上にいたバスケ部員だった。

「あ、蒼人のお姉さんだ」

「はあ!? 姉ちゃん!?」

ガバッと起き上がった蒼人が私を見て、嫌そうな顔をする。

「あんた、バスケ部だったっけ?」