大体、うちの部活も16時ぐらいからで、15時30分を少し過ぎた今なら、一年生が準備をしている頃だ。

バイト先は自転車で3分なので50分に出ても問題ない。

「あ、え、じゃあ皆、連れてきます」

奏一人に、全員で勧誘しなくても良いのに。

そんな、奏は中学から変わったかな?

首を傾げ、思い出すのは昨日の夜に現れた奏だ。

確かにあの奏は、幼くて可愛い感じだった。
声も高いし女の子みたい。中学の入学式のときに、ぶかぶかの学ランを着ていた、あれぐらいの奏にも見える。

体育館を覗くと、バレー部が半分を使ってネットを組み立てている。

奥のステージ側に、卓球部と半面ずつ区切ってバスケ部がいた。

バスケ部って確か、去年は人数足りなくて新人戦は出ていなかった気がする。

野球部と、バレー部、あと陸上と水泳、サッカーはそこそこ強いんだけどバスケはそんなに強いイメージはなかった気がする。

「おーい、奏、そっから投げてみろよ」

誰かが大声で奏を呼ぶ。

みると二階に上がってカーテンを開けていたバスケ部らしい男子が、下にいる奏に声をかけている。