『美空の馬鹿。普通、幼馴染の俺に何でも話すもんでしょ。いつからなの。いつから黙ってたの』
――いや、おかしい。
いつもよりもっと幼い。こんな、駄々っ子みたいなちょっと呂律が回っていない子どもみたいな喋り方では、ない。
少なくても、最近はもっと生意気そうだった。
『無視しないで。ちゃんと聞いてよ』
また大粒の涙を目に溜めて、瞬きする度に真珠のように丸い涙が落ちて行く。
私は、後ずさって、扉のドアノブを後ろ手で探り、ただただ訳も分からず外に出た。
そして転げ落ちながらリビングへ向かった。
「どうしたの? 凄い音だったわね」
「姉ちゃん、階段から落ちた?」
心配そうな母と笑ってる蒼人に目もくれず擦りぬけて、奏の前まで近づく。
「ねえ、奏――」



