「これ、俺が描いたんだ」
「ああ、朝倉くんだったんだ」
納得。だから奏は看板の話はあまり聞いてくれなかったんだね。
蒼人が何か言っても看板だけはあまり真面目に聞いてくれていなかった。
「……才能はないかもしれないけど、好きだった人の絵が、俺は好きだったから」
「ふうん」
「あの絵を再現したくて、ね」
それ以上は私の逆鱗に触れてしまうだろうからと空気を読んで口を閉じた。
私もそれ以上は聞きたくなくて校舎に戻ってしまおうと背を向ける。
その時だった。
「武田さん、危ないっ」
朝倉くんの声とともに上を見上げた。
やはり看板は釘が緩かったようで、先生が力強く釘を打った後、反対側が浮かび上がり釘が外れた。
ずるずると落ちてくる看板がスローモーションで見えた。



