「当たり前でしょ。私たちは二年間やってきたんだから。それより奏、ちょっとハードじゃない? 大丈夫?」

冷蔵庫からお茶を取り出した蒼が、コップも取り出さず直接飲みだしたので、チョップしつつ聞いてみた。
すると蒼も複雑そうに頷く。

「でも何かしとかないと落ち着かないって」
「……そう」

せめてゆっくり眠れて、疲れが取れたらいいんだけど。
頑張りすぎて心配だった。

念のため、部屋の窓が開けてみたけど本音くんはもう現れなかった。
時折、ふわりとカーテンが靡いて舞うぐらいで、完全に現れなくなったようだった。

気になって一階に戻ると、ソファの横で蒼人が布団を敷いて眠っていた。

「明日は13時から劇の練習に公民館らしいのよ」
「お母さん……」

大丈夫なのかと心配になる。

「12時までしっかり寝たら大丈夫よ。奏くんは強いから」

お母さんは遺影のお水を新しいのに変えながら、二人の寝顔を見て微笑んでいる。

杖を突いてなら近くのスーパーまで歩けるようまで回復したお母さんは少し明るくなったような気がする。
足に鉄の板を入れたり、骨の手術を何度もしているのに、私たちには弱音は吐かない。

「……あのね、美空」
「なに?」

「奏くんと美空はお互い大切なの?」