面白くなさそうに敦美先生がテーブルを叩く。
埃が淡い光の中に舞って、私はただソレを見て敦美先生の言葉をシャットアウトしていた。
くだらない。馬鹿みたい。
現実はこんな熱くなっても、明日死んでしまうかもしれないのに。
私に何を望んでいるのか、先生に気持ちは理解できない。
「もう帰って良いですか」
「あ、俺も帰ります」
「こら、お前ら」
内申も気にしなくて良いので、もう構わないでほしい。
「ねえ、また学際でピアノ弾いてくれる?」
進路指導室から出たら、朝倉一はにこにこ不気味にそう聞いてきた。
敦美先生の言葉なんて全く聞く気もなかったらしい。
「本当は呼び出しをふけようと思ってたんだけど、君が入って行ったのが特進クラスから見えたから急いで来たんだ、ほら」
髪を掻きあげると、少し汗が浮かんでいた。
「何か困ったことがあれば、前生徒会長の権限使っちゃうし、絶対弾いてよ」



