「何も調べないで諦めたと思ったの? 借金はイラナイの。授業料、入学金、交通費、雑費、食費が免除になるなら、行きますよ」
それが免除されるなら、血を吐いて勉強してもいい。
私の顔を見ながら、敦美先生の顔がどんどん曇っていく。
不満そうだ。
「行かないのも行っても苦労するかもしれない。だが、今を決めるな。5年後、10年後の自分の為に決めてやれ」
「じゃあ今、苦労しないのがいい。5年後も10年後も、その時の自分が苦労しない方を選んでくれるもん」
「お前の考えは、理解してやりたいが分からないな」
敦美先生は、女子の気持ちは分からないと、最初から諦めてくれるから楽しい。
「親呼ぶしかねえぞ」
「脅して来た! 親の方が私のこと良く分かってるから無駄だよ」
「あーもー」
敦美先生がガシガシと頭を掻くのを、にこにこ笑って眺めている。
進学率が高い方が嬉しいのかな。だから他人にこんなに必死なのかな。
押し付ける善ほど、悪なものはない。



