就職先、か。
進路指導室に行くと、一番乗りだったのかカーテンが閉められていた。
カーテンの隙間から光が漏れ、空気中の埃がはっきりと見えてしまう。
仕方なくカーテンと窓を開ける。


夏を匂わす風。そうだ。梅雨が終わったのだから、夏はもうすぐそばだ。

赤本が並んだ本棚、雑誌みたいに表紙が見えるように並べられた大学のパンフレット。

それらを印刷するためにあるコピー機。

申し訳なさそうに窓辺に置かれた長机。

ほこり臭いけど、広々していて、窓からあふれ出る光のせいで、本棚に影が落ち、ノスタルジックに感じる。


ここが、第二の教室になりそうだ。

「ジャスト5分! どうだ」
「別に、計ってなかったから分かりませんよ」

頬杖突いて長机の一番端に座った。
足を組み換えた私を見て、息を切らして駆けつけた敦美先生は首を振る。

「お前はもう少しやる気を出さないか。ほら、俺が色々調べたんだが奨学金」
「イラナイ。奨学金は借金だよ」
「武田」