「私は親から見て…とても不出来な子供で。ずっと、お前には何も出来ないと言われてきました。なんせ、母は優秀な弁護士。父は病院の院長。そんな間で産まれるとあまり…気楽には生きられませんでした」



いつも言われた。


なぜ出来ないの?

こんな成績どうして取れるの。

なんで分からないの。

あんたは私たちの子ではない…。



「でも、大好きでしたよ?やっぱり子供ですから。働く母や父の背中をみて、かっこいいなと思いましたし…憎いとか、そんなことは思えなかったです。でも、何があっても笑顔の私は周りからはよく気味悪がられました。そんなふうに上手く人とは関われないまま高校生になって…あなたと出会った。あなたに恋に落ちたんです」



「…お前の親からは不出来なのかもしんねぇ。でも、担任の俺からしたらお前はよく出来た奴だよ。成績優秀で学級委員長で生徒会にも入ってる分、クラスの奴らから好かれて、頼りにされてる。人と関わらずに過ごしたって言うけどよ、お前がたくさん笑ってきた分、友達もたくさん出来てんじゃねぇか」


「そんなの…」


「見かけだけ?お前贅沢だな。…俺はこんな性格だから、学生時代友達なんか全くいなかったぞ。それよりマシだろ」


「……単純な考え方ですね(笑)」