超毒舌先生と笑顔ちゃん。

「走る意味、なく…ないです!先生、私のお題…これだったんです」


そうやって、成嶋は手にずっと握っていた借り物競争のお題の紙を見せてきた。



真っ白な紙には…大好きな人、というお題が書いてあった。



「こんな、お題……ホントに書くんだな」



「…そうですよね」



成嶋は泣き痕を残した顔で優しく笑った。



「私、この文字通り…あなたが大好きなんです。だから、あなたに私の1位取る姿を見せたい。思ってることは…単純にそれだけなんです。あと…あなたの前ではこんな泣き顔じゃなくて……やっぱり笑顔でいたいから…走りたい」



あぁ…ホントにバカみてぇだなこいつ。



俺に対してこんなに幸せそうな顔見せんだからさ。



さっき泣かされた相手に言えるか、普通。