ランドセルを背負いなれた小3。
 愛恋は高1になるそんな春。
 去年までは愛恋は学校に行かないで家でずっとひたすら勉強していた。
そんな愛恋が受かったのは県で最難関の高校だった。
流石愛恋とにやけてしまう。
今日はひさびさに愛恋と1日中いれる休日
「愛恋、遊ぼ〜。」
ほんの3ヶ月前、愛恋の父と私の母が離婚してからは愛恋と呼ぶようにしている。
「沙那、眠いの。寝かせて。」
そう言って布団の中にくるまる。あ~もうかわいいなぁ。
「じゃあ一緒に寝る。」
そう言いながら愛恋の布団に入る。
「…襲うぞ。」
「できないくせに」
「…。」
愛恋は顔を赤くしながら少し場所を開けてくれた。
そのまま一緒に寝る。
 二人が目を覚ましたのは昼過ぎだった。
「愛恋、おはよ」
ギュッと抱きしめる。
愛恋は私の頭を撫でながら
「おはよ。久々によく寝た。」
「うん。私も。」
「沙那は小3のくせに夜中まで勉強しすぎなの。」
「だってぇ…。早く愛恋に似合う人になりたいから。」
また顔を赤める。 
「もう可愛すぎ。」
そう言って私の唇に愛恋の唇が落とされる。
ファーストキスだった。
「もぅ、愛恋のバカ。」
「沙那が可愛いのがいけないの。」
「…ロリコン」
「顔がトマトの人に言われたくない。」
いつまで続くのかな、こんな会話。言いたい言葉は違うのに。
そういえば
「要珂ちゃんと玖慈良ちゃん、どっちと付き合ってるの?」
「はっ?誰とも付き合ってないけど。」
明らかに動揺してる。
「玖慈良ちゃん可愛いよね。」
鎌をかけてみる。
「玖慈良は可愛いよ(つω⊂*)」
玖慈良ちゃんと要珂ちゃんは高校までついてきたみたいらしい。
「やっぱりつき合ってるんじゃ…」
「一番好きなのは沙那だから。」
「…。一応、妹だよ?」
嬉しいのに言葉は違うくて。
「知ってる。でも、一応兄にドキドキしているのは誰?」
「さぁ?誰でしょ?」
ついつい悪態つく私を許して。
「やっぱ玖慈良のほうがいいわ。素直だし可愛いし女子力高いし妹じゃないし・・・」
本気で言ってるんじゃないと分かってるのに涙が出てくる。
「愛恋のバカ!」
愛恋の頬を叩いて部屋を飛び出す。
何で泣いてるんだろう。
愛恋が私以外の人と付き合うのは当たり前の事なのに。
階段を駆け下りるとお母さんがキッチンから出てくる。
「喧嘩するのはいいけど静かにしてくれない?うるさかったわ。」
「はい。気をつけますね。」
今、それどころじゃないのわからないかな?
お母さんはキッチンに戻ったので家を出る。
何しようかな?
どこに行こうかな?
そうだ!
展望台に行こ!


〜愛恋〜

 思ってもない事を言って泣かしてしまった。
謝ろうと思って沙那を探しに部屋を出る。
階段を降りて行くと義母さんが心配そうに玄関を見ている。
「愛恋どうしたの?」
「ちょっと喧嘩して・・・。ごめんなさい。迷惑かけて。」
「いいのよ。探してきてくれない?
愛恋にしか心開かないみたいだから。」
「そうなんですか。じゃあ行ってきます。」
「待って!」
袖を引っ張られる。
「沙良(さら)何?」
「沙那いつかは戻ってくるんだからいないうちにしない?」
「沙那が死体になって帰ってくるかもしれないのに沙良とできない。」
親父と沙良の離婚の原因は俺だった。
沙良とヤッているのがバレたからだ。
親父は俺を追いて出て行ってしまった。
「じゃあまた夜にね。」
手を放しキッチンに戻ってくれる。
「行ってくる。」
沙良は妊娠してる。
俺の子だ。
離婚したのは3か月前だから親父の子としてもおかしくないが沙那には秘密にしていた。
沙那は勘が良すぎる。
今はそれよりも迎えにいかなくては。
きっとあそこにいる。



〜沙那〜

「沙那!」
展望台でボーとしていたら名前を大きな声で呼ばれる。
「愛恋・・・。」
「ごめん。いじわる言い過ぎた。」
「別にいいの。分かってたことだし。」
「沙那は・・・。馬鹿だよな。」
愛恋といると笑えるけどよく泣いてしまう。
今だって涙が止まらない。
「それ言いに来たの?」
また思ってることと違うことを言ってしまう
「違う。俺がずっと好きだったのは沙那だけだって言いに来た!
だから一緒に帰ろう?」
「仕方ないなぁ。一緒に帰ってあげる。
愛恋のことが好きだから。」
「ありがと」
手を差し出される。その手をおずおずと握ると愛恋は歩きだす。
「でも約束1つ良い?」
「何でもどうぞ?」
「帰ったら隠してることと私の質問に全部答えてね。」
愛恋は隠してることが多いから。
今日こそは聞きたいの。
「わかったよ。帰って昼ごはん食べたらな。」
「うん!今日のご飯何かな?」
「ラーメンとチャーハンがいいな。」
いつもの感じに戻る。
いつまでもずっとこのままでいたいよ。