「なあ??ちょっと歩こうぜ」



カズキくんはそう言って、
ポケットに手を入れながら歩き出した。


アタシも横に並び、
沈黙のまま砂浜を進む。



この場所、
ケンくんとも来たな…。


ここでキスしたっけ。


少し前のことなのに、
妙に懐かしい。



「あそこに座ろう」



カズキくんは防波堤を指して、
アタシの顔を見た。



「うん…」



腰を下ろし、
真っ暗な海をただ眺める。



灯台の灯りが時々、
アタシたちを照らし、
傍にいることを確認させてくれた。