「……ケンくん、帰ろう」



試合が行なわれたコートから少し外れた砂浜で、
アタシとケンくんは腰を下ろし、
海を眺めていた。


みんなは、海の家に戻り、
帰る支度を始めている。


アタシは
何も答えないケンくんの横顔を
見つめるしか出来なかった。


海ではしゃいでいる人たちの声が、
唯一、沈黙を和ませてくれる。



「……ハルちゃん」



ケンくんが重い口を開いた。



「何??」


「今日、
ハルちゃんに良いところ
見せたかったな……」



しょんぼりと呟くケンくん。