「……ケン、立て」



カズキくんは手を差し伸べ、
ケンを起き上がらせる。


二人は相手チームに礼をすると、
うつむいた表情でこちらに戻ってきた。



「まぁ、良くやった。
練習試合なんだし気にするな!!」



そんな先生の声に
他の部員も「そうだな!」という笑みが漏れる。


でもケンくんはさっきから、
何も言おうとしない。


そんな時、
カズキくんがまたアタシをチラッと見ると、
目で合図を送った。


そのカズキくんの視線が
何となく…理解できた。


“ケンを宜しく”ってことだって。