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早退して家に帰っても、お父さんとお母さんは仕事で、誰もいない。
私はなんとなくソファに転がって目を閉じた。
『麻衣ちゃん!俺、麻衣ちゃんが好きだよ!』
『うん!私も空くんのこと好き!』
『…でも、麻衣ちゃんと俺の好きは違うんだよ。麻衣ちゃんのこと、女の子として好きなんだ』
あれは何年生だったっけ…。
確か、小学生の頃だったな…。
空くんからそう言われて…。
でも私は、まだその頃は空くんの言ってる意味がわからなくて…。
今ならわかる…。
空くんが私のことを好きだって言ってくれた意味が。
今は私だって、同じ気持ち…。
だけど…人の気持ちは変わってしまう…。
空くんには、彼女がいる…。
この事実はどうしようもない。
空くんは、もう、私のこと好きじゃないんだ。
「私が…遅かったんだなぁ…」
そう思うと、涙が一粒、頬を伝った。