目の前の状況が見たくなくて、後ろを見る。大きな水晶に、恐怖に引き攣った自分の青い顔が映っていた。
(なんで、なん、で__)
冷や汗が流れ、サファイアのような瞳に涙が滲む。同じような色した髪には、ほんの少しだが、返り血が付いていた。目までかかる前髪を握り、少しでも気持ちを落ち着かせようとした。
その間にも、ザクザクと人間の切れる音がして、悲鳴と、その罪が聞こえた。落ち着ける訳がない。
思いきってまた前を見ると、先ほどの左手の無い男はいなかった。そこにあったのは、血の池と右手。つまり、これしか残らないように、切られた、ということなのだろうか。
「あっはは、さすが兄さん」
刀を鞘に収めた先ほどの殺人鬼のとなりに、一瞬で現れたのは、殺人鬼と同じような格好をした者だった。兄さんと読んでいるので、きっと殺人鬼の弟なんだろう。
やはり、声はノイズがかっていて、良くわからない。でも、なんとなく、笑っているのがわかった。
「兄さん、あと1万人だね。あとたったの1万で、兄さんはついに、ついにあの悪名高い殺人王と並ぶんだよ?!」
(殺人王、て、あの『殺人王』!?)
殺人王、名前は誰だって知っている、否、知らぬ人は居ない。有名にも程があった。
殺人王、その名の通り殺人の王様みたいな者だった。残虐なる殺人鬼。その殺し方は、人間を血の池にし、体が跡形も残らないように切り裂かれて、骨すらもなくなってしまうという。今年で殺された人間は1億を超えたという。最近は、地元のアルジェリオン国内でも殺人が発生しており、要注意と警報を出されているくらいだ。世界人口は、約125億人、それがこの世界だ。[その中で1億人も殺されているということは、世界を破滅しようとしている張本人ではないか!?]という特集もやっている。しかし、犯人は人間では無いため、捜査は難航。今では神を雇うという企業が力を入れて撲滅に取り組んでいるようだが、今だに首を討ち取れていないという。
「まだ、一億と千2百だ。全然だ、遠い道のりだ」
殺人鬼は鼻で笑うと、刀を抜く。その切っ先を天に掲げると、ジャラジャラという音とともに、鎖が降ってきた。
「兄さん、すんごいね、もうこんなにも沢山の力を取り戻して。嗚呼、悪神だからなんだ、兄さんも僕も、こんなにも力を持っているって謂うのに、皆認めてくれないのは」
(なんで、なん、で__)
冷や汗が流れ、サファイアのような瞳に涙が滲む。同じような色した髪には、ほんの少しだが、返り血が付いていた。目までかかる前髪を握り、少しでも気持ちを落ち着かせようとした。
その間にも、ザクザクと人間の切れる音がして、悲鳴と、その罪が聞こえた。落ち着ける訳がない。
思いきってまた前を見ると、先ほどの左手の無い男はいなかった。そこにあったのは、血の池と右手。つまり、これしか残らないように、切られた、ということなのだろうか。
「あっはは、さすが兄さん」
刀を鞘に収めた先ほどの殺人鬼のとなりに、一瞬で現れたのは、殺人鬼と同じような格好をした者だった。兄さんと読んでいるので、きっと殺人鬼の弟なんだろう。
やはり、声はノイズがかっていて、良くわからない。でも、なんとなく、笑っているのがわかった。
「兄さん、あと1万人だね。あとたったの1万で、兄さんはついに、ついにあの悪名高い殺人王と並ぶんだよ?!」
(殺人王、て、あの『殺人王』!?)
殺人王、名前は誰だって知っている、否、知らぬ人は居ない。有名にも程があった。
殺人王、その名の通り殺人の王様みたいな者だった。残虐なる殺人鬼。その殺し方は、人間を血の池にし、体が跡形も残らないように切り裂かれて、骨すらもなくなってしまうという。今年で殺された人間は1億を超えたという。最近は、地元のアルジェリオン国内でも殺人が発生しており、要注意と警報を出されているくらいだ。世界人口は、約125億人、それがこの世界だ。[その中で1億人も殺されているということは、世界を破滅しようとしている張本人ではないか!?]という特集もやっている。しかし、犯人は人間では無いため、捜査は難航。今では神を雇うという企業が力を入れて撲滅に取り組んでいるようだが、今だに首を討ち取れていないという。
「まだ、一億と千2百だ。全然だ、遠い道のりだ」
殺人鬼は鼻で笑うと、刀を抜く。その切っ先を天に掲げると、ジャラジャラという音とともに、鎖が降ってきた。
「兄さん、すんごいね、もうこんなにも沢山の力を取り戻して。嗚呼、悪神だからなんだ、兄さんも僕も、こんなにも力を持っているって謂うのに、皆認めてくれないのは」



