それから、私たちは、一緒に帰ったりするようになった。でも、それだけ。
 
 だから、これは、記念すべき、初デート。なんか、ドキドキする。

 母に浴衣を、着せてもらった。

「いいわね。高校生は。うらやましい。昔を思い出すなぁ。」

 帯を結びながら、母は言った。
 わりと、何でも、話せる母。遼くんのことも、知ってる。

「美緒にも、彼氏かぁ。ママも、年をとったわねぇ。でも、おめでと。」

 そんな風に、言ってくれた。

「はい。出来た!かわいい!さすが、ママの娘。」

 鏡の中には、見たことない私が、いた。
 紺地に、青と紫の朝顔の柄が、入っている浴衣に、濃い臙脂色の帯。

 遼くんは、何て言うかな。

 胸が、苦しいのは、慣れない帯のせい?それとも……。