満足そうに私を見つめていた彼が

驚いた顔をした。


私、泣いてた。

うれしくて涙が出てた。


「ありがとう」

何度も私はそう言い続けた。


「そんなに喜んでもらえて

 こっちこそありがとう」

彼は優しく微笑んだ。


そして仕事が残ってるからと

帰っていってしまった。


車が見えなくなるまで私は

ずっと彼を見送った。

今日のこの時間はまるで嘘のようで

夢のようで、その場を

なかなか離れることができなかった。


部屋にもどってもお風呂に

入っていてもずっと彼のことを

考えていた。

彼に抱き占められて

彼のぬくもりや香水のにおい

近くに聞こえた彼の声、

すべてが私をドキドキさせるんだ。


『期待してもいいですか』