玄関を出ると圭さんが待っててくれた。

空港まで送ってもらう。


「じゃぁ、ちゃんと送ってきますね」

「よろしくおねがいします」


両親に挨拶をして私のスーツケースを

受け取ってくれた。



彼の車は相変わらず乗り心地がいい。

スムーズに発進した車は、国道を

流れるように進んでいく。


混んでいないせいもあって

ほとんど停車することもなく

空港へと繋がる高速道路に乗る。


なにを話せばいいのか悩みながら

言葉が出ない。


彼はそんな様子に気付いたのか

目線は前を向いたまま


「昔、林檎がさぁ・・・」

「うん?」

「この車に乗って、一生のうちに

 乗れることのない車だって言ったよな」

「あはは。そんなこと言ったかな?」

「うん、言った。

 俺、けっこう感動したっていうか・・・

 新鮮だったんだ、そういう反応。」

「そう?」