それはとても漠然とした考えで

俺自身どう進めていいのかも

よくわからない。


今、この病院の待合室で

話す話ではないことはわかる。


日を改めて、ちゃんとした案にしてから

頼もうと考えた。


しかし見れば見るほど、

普通の子っていうのがこんなにも

貴重な存在なんだな。


しばらくして、彼女の母親が

慌てた様子でやってきた。

「あんたがうちの子轢いたの?」

と俺に聞いてきた。


正直、ビビッたけどその言葉には

娘を想う母親の優しさが

溢れているように感じた。


我が家には久しく感じることの

なかった、その感覚に

自分のしてしまったことの重大さを

感じた。


「申し訳ありませんでした」

深く頭を下げた。


「もぅお母さん、怪我もなかったんだし

 いいじゃん」

と林檎は俺をかばってくれた。